三菱電機
三菱電機について
三菱電機株式会社は、日本を代表する総合電機メーカーの一つであり、その事業分野は広範囲にわたっています。なかでも「FA(ファクトリーオートメーション)機器分野」は、同社の中核事業の一つとして位置づけられており、世界中の製造業の現場に高度な自動化技術とソリューションを提供しています。
1. FA機器分野の概要
FA機器とは、「Factory Automation」の略で、工場の生産工程を自動化するための装置やシステムの総称です。三菱電機は、長年にわたりこの分野に注力し、以下のような多様な製品群を提供しています。
プログラマブルコントローラ(PLC):生産設備を自動制御する中枢機器であり、同社の「MELSEC」シリーズは国内外で高いシェアを持っています。
サーボシステム:高速・高精度な位置決め制御を実現するモーターとドライバ。産業用ロボットやNC工作機械などに不可欠です。
インバータ:モーターの速度制御を可能にする機器。省エネや安定運転に寄与します。
表示器(HMI):タッチパネル式の操作端末で、生産状況の監視や操作を効率化します。
産業用ロボット:自動化の高度化に向けた多関節ロボットやSCARAロボットなど。
これらの機器は単体で使われるだけでなく、統合制御システム「e-F@ctory」のもとで連携し、スマートファクトリー化やIoT化を推進しています。
2. 三菱電機の強みと特徴
三菱電機のFA機器は、以下の点で高く評価されています。
高信頼性と耐久性:長年の技術蓄積により、厳しい環境下でも安定して動作する製品を提供。
多様なラインアップ:小規模工場から大規模製造拠点まで対応できる幅広い製品群。
ソフトウェアとの連携:プログラミングやデバッグを効率化するソフトウェア「GX Works」やIoT対応の「Edgecross」など、ソフト面の支援も充実。
グローバルネットワーク:アジア、欧州、北米など世界中に販売・サポート拠点を展開し、現地ニーズに応じた提案が可能。
3. 協力会社との連携体制
三菱電機のFA機器分野の発展を支えるのが、数多くの協力会社の存在です。これらは製品の設計・製造・物流・保守に至るまで、多岐にわたる分野で重要な役割を担っています。
主な協力会社の役割
製造協力会社:三菱電機の製品の一部または全体の製造を担います。高品質な部品供給や組立を通じて、安定した製品供給を支えています。
販売代理店・SIer(システムインテグレーター):ユーザー企業に対して製品提案、システム構築、保守まで一貫してサポートする企業群。三菱電機FA製品をベースに、各社のノウハウを活かしたソリューションを提供しています。
ソフトウェア開発会社:制御系ソフトウェア、監視ソフト、IoTプラットフォームの開発に関わり、三菱電機の製品群とシームレスに連携可能なツールを構築します。
部品・素材メーカー:制御基板、センサー、電源部品などを供給する企業も不可欠な存在です。高度な品質管理と供給力が求められます。
パートナー制度の整備
三菱電機は、協力会社との関係を強固にするために、さまざまなパートナー制度を設けています。たとえば「MELFAパートナー制度」や「e-F@ctoryアライアンス」などがあり、これに参加することで、三菱電機との連携強化・技術共有・共同開発などが可能になります。
こうした取り組みは、以下のような効果を生んでいます。
技術力の底上げ:パートナー企業も三菱電機の教育や研修を通じて技術力を高められる。
迅速な市場対応:製品開発や納入のスピードアップが可能。
付加価値の提供:顧客ニーズに即したカスタマイズやシステム構築が柔軟に行える。
4. 今後の展望
FA業界は現在、スマートファクトリー、DX(デジタルトランスフォーメーション)、カーボンニュートラルといったキーワードのもとで急速に進化しています。三菱電機も、FA製品の高機能化・省エネ化・ネットワーク対応を進めると同時に、AIやビッグデータ解析と連携したソリューションの提供に力を入れています。
協力会社との関係においても、単なる「供給者-発注者」の関係ではなく、共創パートナーとしての役割がますます重要になってきています。お互いの強みを活かしながら、新たな価値を創出し、持続可能な産業社会の実現に貢献していくことが求められているのです。

■ エピソード1:「人工衛星を作る電機メーカー」
三菱電機は冷蔵庫やエアコン、FA機器のイメージが強いですが、実は日本の宇宙開発にも深く関わっています。特に有名なのが、日本初の民間主導で打ち上げられた商用衛星「きずな」や「ひまわり」シリーズの製造を手がけている点です。
驚くべきことに、三菱電機の兵庫県尼崎製作所で、冷蔵庫と人工衛星が同じ敷地内で製造されていたことも。工場の一角では衛星用のクリーンルームがあり、反対側では家庭用冷蔵庫がラインで作られているという、まさに「宇宙から家庭まで」な会社です。
■ エピソード2:「霧ヶ峰エアコンの“ムーブアイ”は人の気配も見る?」
家庭用エアコン「霧ヶ峰」に搭載されている**“ムーブアイ”センサー**は、人の居場所を感知して風をコントロールする機能があります。
実はその感知能力があまりに鋭敏すぎて、「幽霊がいると風向きが変わる」という都市伝説まで生まれました。もちろんこれは科学的な根拠がある話ではありませんが、センサーが人以外の温度差にも反応することから、「なんか変な場所に風がいく」という現象が話題になったのです。
ちなみに、霧ヶ峰のセンサー技術は、三菱電機の赤外線衛星用センサー技術の応用であり、宇宙開発と家庭用製品が密接に関わっている好例です。
■ エピソード3:「エレベーターが“世界最速”の座をかけた戦い」
三菱電機は、**横浜ランドマークタワー(1993年完成)**にて、当時世界最速のエレベーター(分速750メートル)を開発・納入しました。この開発競争では、日立製作所などライバル企業も“最速”の座を狙っていました。
驚くべきは、単にスピードを追求するだけではなく、「耳が痛くならないようにする気圧調整装置」や「風切り音を減らすための車体形状」など、高速=快適とは限らないことへの挑戦があった点です。
三菱電機のエンジニアたちは、「もはや航空機並みの制御技術が必要」と語っていたほどで、エレベーターなのに“風洞実験”まで行ったという話も残っています。
■ エピソード4:「三菱電機のマークに込められた“日本刀”の精神」
三菱電機の「三菱」マーク(三菱マークの3つの菱形)は、もともと**岩崎弥太郎の家紋(重ね三階菱)**と、土佐藩主の家紋を組み合わせたものです。
このマーク、実は江戸時代の武士の“刀の鍔(つば)”の形に似ているとされ、「誇り高き戦う者の精神」を象徴しているとも言われています。三菱電機の社内では、「誠実・技術・挑戦」の精神がそのマークに込められているという話が語り継がれているとか。
■ エピソード5:「FA機器の“日本最強互換性”にこだわる社風」
三菱電機のPLCやインバータなどのFA(ファクトリーオートメーション)製品は、日本国内でのシェアが非常に高く、特に製造現場では**“三菱しか使いたくない”という技術者が多い**のが特徴です。
その理由の一つが、「後方互換性を極限まで維持する」という開発方針。たとえば20年前のPLCでも、新しい製品と通信させたり、プログラムを少し書き換えるだけで再利用できるケースが多いのです。
これに対して、開発現場では「もう少し大胆に変えたい…」という声もあるそうですが、「現場で止まったら終わり」という三菱電機のポリシーに従って、互換性を優先するスタイルが維持されているとのこと。

サプライチェーン情報
現在、三菱電機製の製品・部品の流通在庫の種類は約30,000種類ありますが
また互換・同等の製品・部品を供給している会社・ブランドは以下の通りです。
MELSEC 11
MITSUBISHI BEIJER 6
MITSUBISHI HEAVY IND 22
MISTER SLIM 3
MITSUBISHI ACME 4
MITSUBISHI DENSEN 4
VINCOTECH 40
上記のサプライチェーン情報は2024年01月に調査した流通在庫データを
ベースにしていますので日時の経過によって変動いたします。
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