山武
◆ 山武からアズビルへ ─── 自動制御のパイオニア
アズビル株式会社(旧社名:山武株式会社)は、ビルや工場などの自動制御機器・システムの専門メーカーとして、日本のインフラや産業に大きく貢献してきた企業です。
本社は東京都千代田区。創業は**1906年(明治39年)**で、100年以上の歴史を誇ります。
旧社名の「山武計器製作所」「山武ハネウェル」としても知られており、**2008年に社名を「アズビル(azbil)」に変更。現在も“山武スピリット”**を受け継ぎながら、日本国内外でビルオートメーション・産業自動化・ライフオートメーションの各分野に取り組んでいます。

◆ アズビルの主な事業領域
アズビルは、以下の3つの分野で製品やソリューションを展開しています。

① ビルオートメーション(BA)
ビル管理・空調制御などの省エネ・快適環境づくりを支える自動制御分野です。
主な製品・サービス:
- ・ 空調機器のセンサ、バルブ、アクチュエーター
- ・ 中央監視システム(BAS)
- ・ エネルギーマネジメントサービス
- ・ スマートビルディング対応ソリューション
大型ビル・病院・商業施設・空港などの「建物の頭脳」を作る領域で、東京スカイツリーや羽田空港、
超高層ビルなどにも導入されています。

② アドバンスオートメーション(AA)
こちらは工場やプラントの自動化・効率化・安全性を支える分野です。
主な製品:
- 圧力・温度・流量などの産業用センサやトランスミッター
- DCS(分散制御システム)
- 制御バルブ
- 計装システム設計・保守サービス
石油化学・食品・製薬・半導体など、高い精度・安全性が求められる業界で広く活用されています。

③ ライフオートメーション(LA)
病院や研究施設、在宅医療など人の暮らしに密接した領域で活躍する事業です。
代表例:
- クリーンルーム環境制御
- 医薬品製造のバリデーション支援
- 高齢者向け見守りシステム
- ヘルスケア施設向けIoTソリューション
感染症対策や医療の現場でも、空間の清浄度管理や遠隔監視などに対応しており、社会的なニーズに応じた展開を強化中です。

◆ 歴史と成長の歩み
アズビル(旧山武)は、いくつかの時代の節目を通して成長してきました。
アズビル(旧山武)は、いくつかの時代の節目を通して成長してきました。
年 |
主な出来事 |
1906年 |
山武時計製作所として創業(東京都) |
1933年 |
山武計器製作所に改称、自動制御機器に本格参入 |
1956年 |
米Honeywell社と技術提携、「山武ハネウェル」誕生 |
1990年代 |
エネルギーマネジメント、環境分野へ進出 |
2008年 |
社名を「アズビル株式会社」に変更(「Automation + Zest for
life」から命名) |
現在 |
DX・IoT・カーボンニュートラル対応など次世代領域へ拡大中 |

◆ 技術力の特徴
アズビルは「測る」「制御する」「繋げる」ことにおいて非常に高い技術を持っています。
特に強みがあるのは:
- ・ 高精度なセンシング技術(温度±0.1℃、圧力±0.075%精度など)
- ・ フィードバック制御・PID制御の高度化
- ・ 大規模ビルや工場全体を一括で制御・最適化できるシステム技術
- ・ OT(制御)とIT(情報)の融合に強い実績
また、AI・IoTを活用した予兆保全やエネルギー最適化にも力を入れています。

◆ 海外展開とグローバルブランド
アズビルは、日本だけでなくアジア、北米、ヨーロッパに拠点を持ち、世界中のインフラ・生産現場で活躍しています。
海外では「azbil」ブランドで展開し、
- 中国・東南アジアでの工場自動化
- 北米のバイオ医薬工場
- 中東のプラント制御設備
など、国際的な案件にも数多く携わっています。

◆ 人・社会・環境への取り組み
アズビルは企業理念として、
「人を中心としたオートメーション」
を掲げています。これは単なる効率化ではなく、
- 人の快適さ、安全、健康
- 持続可能なエネルギー利用
- 安心できる社会のインフラ
に貢献する、という意味が込められています。
そのために、
- カーボンニュートラルソリューション
- 医療・介護の現場支援
- 働く人を見守る安全対策技術
などのソリューションも提供しています。

◆ 面白いトピック
- 富士山頂測候所の計測装置を支えた(超低温・過酷環境でも安定稼働)
- 東京スカイツリーの空調制御を一括管理(タワー内の温度差±1℃に保つ)
- オフィスで働く人の集中力を分析→照明や空調を自動最適化
- クリーンルームでの「微粒子制御」では世界でも有数の実績

◆ まとめ:見えないところで人と暮らしを支える企業
アズビルは、自動制御技術を通じて「人・環境・機械」のベストバランスを追求してきた企業です。
その技術は、
- 私たちの働くオフィス
- 通っている病院
- 食品・薬・半導体をつくる工場
- 安全で快適な暮らしの空間
など、日常のあらゆる場所の裏側で活躍しています。
「見えないけれど、なくてはならない技術」を磨き続けて100年。これからも、人を中心に据えたスマート社会のインフラ技術として、さらなる進化が期待される企業です。

1. ビル火災で発覚!山武の制御が"地味にスゴい"
ある年、大型ビルで火災が発生。火災報知器が作動し、避難が始まりました。
その後、消防が現場に駆けつけたとき、彼らがこう言ったそうです:
「このビル、避難誘導が異常にスムーズだったな。空調の遮断も完璧だった」
なぜかというと、山武(当時)の中央監視システムが、自動で非常時モードに切り替わり、煙の流れを読んで空調やエレベーターをコントロールしていたから。
つまり、火災時の「避難しやすい環境」すら、事前にプログラムされていたということ。
普段は全く目立たないけど、“もしもの時”に人の命を守る、そんな“影のヒーロー”なエピソードです。

2. 皇居の地下に、山武の制御室が…!?
これはあまり知られていない話ですが、皇居の建物の空調制御にも山武(当時)の技術が導入されていたことがあります。
皇居のような歴史的建造物や重要施設では、温湿度のわずかな変化が美術品や構造物に大きな影響を与えるため、高度な制御が必要です。
山武の技術者が実際に入って、
「美術品がカビない湿度環境」や「床下の風の流れ」まで制御したという話も。
静かに国を支える…めちゃくちゃ渋い活躍ですね。

3. “ウイルスを持ち込ませない病院”を設計!
とある病院から、アズビルにこんな依頼がありました:
「院内感染リスクをとにかく最小限にしたい」
それに応えて開発されたのが**「見えない風の壁」**による感染対策ソリューション。
具体的には:
- ・ 感染エリアと一般病棟の間に、空気の“風圧”で境界を作る
- ・ ドアを開けても、空気の流れで菌を“吹き戻さない”よう制御
- ・ 患者が歩いた動線に合わせて、空調が自動で微調整
これによって、スタッフの手間を最小限に抑えつつ、実際に院内感染ゼロを実現した例もあるそうです。
“空気を操って命を守る”という、まさにアズビルならではの職人技ですね。

4. 東京スカイツリーの空調を“1℃以下”で管理
あの高さ634mの東京スカイツリーの空調・設備監視を担当したのもアズビル。ビル内の温度差があると、空気の流れで微妙な構造振動が起こる可能性があり、構造安全上の課題になります。
そこでアズビルは、タワー内の上下階で温度差が出ないよう、空調をミリ単位で制御。
1年を通じて、温度差±1℃以下を保つことに成功しました。
ただし、技術者が大変だったのは「試運転時のエレベーター」!
「毎日500m以上の昇降で耳がキーンとする。資料持って登ったり降りたり、まるで登山(笑)」
それでも完璧に仕上げて、今も静かにタワーを支えています。

5. “名前が変わっても山武魂”は変わらない
2008年に「山武」から「アズビル」に社名を変更したとき、社内や古くからの顧客の中には、
「長年親しんだ『山武』という名前がなくなるのは寂しい…」
という声もありました。しかし、そのとき、ある技術者が語った言葉が印象的だったそうです。
「山武は名前じゃない。“人を中心に考える技術”という哲学が山武なんだ」
その言葉通り、アズビルは今も国内外で**人と社会の未来を支える“見えない技術者集団”**として活躍しています。

まとめ:見えないところで、“人を守る”名脇役
アズビルの面白さって、「派手なロボット」や「最先端AI」じゃなくて、
- 空気の流れ
- 温湿度の変化
- 非常時の避難行動
- 感染対策
といった目に見えにくい“人の快適・安全”をコントロールする職人芸にあるんです。
まさに、「見えないところにこそ技術がある」。
こういう“縁の下の力持ち”エピソード、結構グッときますよね。

サプライチェーン情報
弊社の流通中古市場調査で、山洋電機製の製品・部品は約350種類確認されています。
また互換・同等の製品・部品を供給している会社は見当たりませんでした。
上記のサプライチェーン情報は2025年03月に調査した流通在庫データをベースにしていますので日時の経過によって変動いたします。
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