Digital デジタル
1. Digital社(株式会社デジタル)とは
株式会社デジタル(Digital
Electronics Corporation)は、
かつて大阪市に本社を置いていた、**産業用表示器(HMI=Human Machine Interface)**の専業メーカーです。
- 設立:1972年
- 創業者:河合滋
- 事業内容:産業用表示器、プログラマブルターミナル、タッチパネル式表示器などの開発・販売
当時、日本では「制御盤=メーターとスイッチの集合体」が主流だった中、
デジタル社は世界に先駆けて、「グラフィック表示型の操作端末」という新しい概念を産業界に持ち込みました。
特に注目されたのが、
✔ タッチパネル操作
✔ グラフィックベースで直感的に機械を操れる
✔ プログラムで柔軟に画面レイアウトを変えられる
という点。
これにより工場の効率化・安全性向上に大きく貢献しました。

■ 2. Pro-face(プロフェイス)とは
Pro-face(プロフェイス)は、株式会社デジタルが展開していた自社ブランド名です。
- ブランド立ち上げ:1989年
- 名前の由来:
- 「Professional Interface」=プロフェッショナル向け操作端末
- 「Pro-face」=人と機械の“顔(インターフェース)”をつなぐ
つまり、Pro-faceとは「株式会社デジタルが作った製品ブランド」なんです。
Pro-faceシリーズの特長
- タッチパネル一体型のコンパクト設計
- プログラマブルな柔軟性
- 視覚的に分かりやすいGUI設計
- 豊富な通信プロトコル対応(PLC各社に対応)
- 頑丈で耐環境性能が高い(工場ラインに最適)
産業界に「使いやすく、壊れにくい表示器」という評価を定着させ、
国内はもちろん、海外市場でも高いシェアを獲得していきました。

■ 3. Digital社とPro-face社の世界展開
デジタル社は1990年代から海外展開を本格化。
- 米国、欧州、アジア各地に拠点を設立
- 多言語対応の表示器を開発
- 世界中の自動車工場、半導体工場、食品工場などに導入
Pro-faceブランドは、「インターナショナルHMIブランド」としてグローバルでも確固たる地位を築きました。
特にアメリカ市場では、シンプルで堅牢な設計が評価され、
日本以上に高く受け入れられたとも言われます。

■ 4. 大きな転機:シュナイダーエレクトリックによる買収
2002年、フランスの大手エネルギー・オートメーション企業
**シュナイダーエレクトリック(Schneider
Electric)**が、
デジタル社(Pro-faceブランド)を買収しました。
この買収により、
- 資本力、グローバル販売網の拡充
- シュナイダー製PLCや制御機器との連携強化
- 世界中の大規模案件への対応力強化
といったメリットが生まれ、Pro-faceブランドはさらに進化しました。
ちなみに、買収後も「Pro-face」というブランド名は残り、
今日でもシュナイダーグループ内の「HMI専門ブランド」として独立性を保っています。

■ 5. 代表的な製品ラインナップ
ここで少し、Pro-faceの代表的な製品を紹介します。
5-1 GPシリーズ
- タッチパネル型オールインワンHMI
- 小型〜大型まで豊富な画面サイズ
- 高速通信、多彩な接続性
- 産業用ネットワーク対応(Ethernet/IP、Profinetなど)
5-2 SP5000シリーズ(Advanced HMI)
- 高性能CPU搭載
- マルチタッチ対応
- 高解像度(Full HD)ディスプレイモデルもあり
- Webサーバー機能内蔵で、スマホ・タブレットからモニタリング可能
5-3 LTシリーズ(プログラマブル表示器)
- 表示器+PLC機能を一体化
- コンパクト機械装置向けに人気
- プログラミング環境(GP-Pro EX)も充実

■ 6. Digital/Pro-face社の業界インパクト
Digital(Pro-face)は、産業用タッチパネルの普及に絶大な影響を与えました。
- それまでメーターと物理スイッチで機械を操作していた現場が、
→「画面タッチで直感操作する」スタイルへと激変 - 現場作業員の負担軽減、操作ミス削減に貢献
- 工場のデジタル化、スマートファクトリー化の流れを加速
つまり、現代の「工場の操作盤デザイン」の原点を作ったのが、
まさに**Digital社(Pro-face)**と言えるのです。

■ 7. 現在のPro-face社(2025年時点)
- シュナイダーエレクトリックグループ内で「HMI専門ブランド」として存続
- IoT対応、クラウド連携、AI活用など先進機能も搭載
- FA(Factory Automation)からエネルギー、ビルオートメーション分野まで拡大
- 国内代理店網、サポート体制もさらに強化
- 産業HMI市場でトップクラスのシェアを維持

■ まとめ
株式会社デジタル(Digital)とPro-faceブランドは、
✅ 産業界にタッチパネルHMI文化を根付かせたパイオニア
✅ 世界中で支持されるグローバルHMIブランドへ成長
✅ シュナイダー傘下でさらにIoT時代へ進化中
という、産業オートメーション史において非常に重要な役割を果たしてきました。
サプライチェーン情報
弊社の流通中古市場調査で、DIGITAL製の製品・部品は約1,000種類確認されています。
また互換・同等の製品・部品を供給している会社はありませんでした。
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