INTERMEC
INTERMEC社とは
1. 概要
INTERMEC Inc.(インターメック)は、アメリカ合衆国ワシントン州エバレットに本社を構えていた、**自動認識技術(Auto-ID)**のリーディングカンパニーであり、主にバーコードスキャナ、モバイルコンピュータ、RFID(無線周波数識別)、プリンタなどのハードウェアおよびソリューションを提供してきました。特に製造業、物流、流通、小売、ヘルスケアなどの分野で、企業の在庫管理やトレーサビリティ、業務効率化を支える革新的な製品を開発し、世界的に高い評価を受けていました。
なお、INTERMECは2013年に米Honeywell(ハネウェル)社に買収され、現在は「Honeywell Productivity Solutions and Services」部門の一部としてその技術や製品群が継承・発展しています。
2. 企業の成り立ちと沿革
INTERMECは1966年に設立され、当初は「Interface Mechanisms」という名前でエンジニアリング企業としてスタートしました。その後、急成長する自動認識技術分野に着目し、1970年代にはバーコード読み取り装置やラベルプリンタの開発に本格参入。1980年代以降は企業向けの在庫管理システムや無線データ通信機器を中心に事業を拡大し、RFID分野にもいち早く取り組むなど、Auto-IDのパイオニアとして業界をリードしました。
買収・統合の歴史も多く、Norand、United
Barcode Industries(UBI)、Vocollectなどを取り込みながら製品ポートフォリオを強化。2013年、Honeywellによる買収によって独立企業としての歴史を終えますが、同社の技術とブランドは今も世界中で活用されています。
3. 主力製品と技術領域
INTERMECの最大の強みは、堅牢性と信頼性に優れたハードウェアと、それを支えるソフトウェア/システム技術にあります。以下に代表的な製品群と技術を紹介します。
(1) モバイルコンピュータ
INTERMECのモバイルコンピュータは、現場作業者が持ち運びながら使用する端末で、バーコードスキャンやデータ入力、無線通信機能を備えた業務用デバイスです。
- CK3シリーズ、CNシリーズ、CK71などは、物流倉庫や配送業務で広く利用されました。
- 落下や水濡れに強い堅牢な筐体設計と、Windows EmbeddedやAndroidなど多様なOSサポートが特徴。
(2) バーコードスキャナ
INTERMECは、1次元・2次元バーコードに対応したハンディスキャナ、固定式スキャナを展開。高性能な読み取りエンジンを搭載し、擦れたラベルや高速移動する対象物でも正確に読み取れる性能が評価されました。
- 例:SR61、SF61B、SR30 など。
(3) ラベルプリンタ/モバイルプリンタ
- ラベル発行・タグ印刷用のインダストリアルプリンタ(PXシリーズ、PMシリーズ)。
- モバイルワーカー向けの小型・軽量なモバイルプリンタ(PBシリーズ)。
- ZPL(Zebraプリンタ言語)との互換性も高く、多様なシステムとの連携が可能。
(4) RFIDソリューション
INTERMECはRFID技術の先駆者としても知られ、RFIDリーダーやプリンタ、タグに対応したシステムを早期から展開。
- UHF帯RFIDリーダー、ポータブルRFID端末など。
- トラッキング、資産管理、サプライチェーン最適化などで活用。
(5) ソフトウェアとシステム統合
INTERMECはハードウェアだけでなく、以下のような業務支援ツールも提供していました。
- SmartSystems™:端末のリモート管理や設定変更、ソフトウェア更新が可能なデバイス管理ツール。
- ScanNGo™:モバイル端末への設定をバーコード1枚で簡易化する自動設定技術。
- Intermec Browser™:ウェブアプリを現場端末上で安定動作させる専用ブラウザ。
4. 導入事例と産業別活用
INTERMECのソリューションは、以下のような業種で活用されてきました。
・物流・倉庫業
ピッキング、検品、棚卸、配送確認などの現場において、モバイルコンピュータとRFIDを組み合わせたリアルタイム管理が可能に。
・製造業
生産ラインや部品管理、品質追跡にバーコード・RFID技術を導入し、トレーサビリティと生産性向上を支援。
・小売業
店舗での在庫管理、入出荷処理、棚卸などにモバイル端末やハンディスキャナを活用。
・ヘルスケア
患者認証や医療資材の管理など、安全性が求められる医療現場でもバーコード/RFID機器が使われています。
5. Honeywellによる買収と現在の状況
2013年、INTERMECはHoneywellにより約6億ドルで買収されました。これにより、INTERMECのブランドとしての独立性は終了しましたが、その技術や製品ラインは「Honeywell Productivity
Solutions & Services」の一部として継続しています。
現在でも、INTERMECの旧製品(CK3、PM43など)はHoneywellブランドで販売・サポートが継続されており、製品寿命の延長、修理サービス、代替機種の提案も提供されています。
6. 特徴と競合優位性
INTERMECは以下の点で多くの顧客から信頼を集めてきました。
- 堅牢性と耐久性に優れた設計:過酷な現場環境に耐えるプロ仕様。
- エンタープライズ向けの柔軟なカスタマイズ:ユーザーや現場ごとに最適化可能。
- 包括的なサポート体制:導入から保守までトータルで支援。
- RFIDやモバイル管理など、将来を見据えた技術開発。
競合としては、Zebra Technologies、Datalogic、Honeywell(旧Handheld
Productsなど)などがありますが、INTERMECはシステム統合性と管理性の高さで差別化されていました。
まとめ
INTERMEC社は、バーコード、RFID、モバイルコンピューティング分野における自動認識技術の先駆者として長年業界を牽引してきました。現在はHoneywellに統合されていますが、その製品思想や設計思想、業務効率化を支える高信頼な技術は、今も世界中の現場で活用されています。
企業の物流改革や製造工程のデジタル化、医療・小売の現場革新において、INTERMECのDNAは重要な役割を果たし続けています。
サプライチェーン情報
弊社の流通中古市場調査で、 INTERMEC製の製品・部品は約 8,000種類確認されています。
また互換・同等の製品・部品を供給している主な会社・ブランドと種類数は以下のとおりです。
HONEYWELL 5230
上記のサプライチェーン情報は2024年 10月に調査した流通在庫データをベースにしていますので日時の経過によって変動いたします。
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