INFINEON Technologies

 

INFINEON Technologies(インフィニオン・テクノロジーズ)社について

 

 

概要

INFINEON Technologies AG(以下、インフィニオン)は、ドイツ・ミュンヘンに本社を置く、世界有数の半導体メーカーです。1999年、シーメンス社の半導体部門が分離・独立する形で設立され、以来、電力制御、車載用半導体、セキュリティソリューション、産業用半導体といった分野で強力なポジションを確立してきました。2023年の売上高はおよそ163億ユーロに達し、約56,000人の従業員を擁しています。

主力事業分野

インフィニオンの事業は大きく4つのセグメントに分類されます。

  1. Automotive(車載半導体)
    自動車分野はインフィニオンの最重要市場の一つであり、EV(電気自動車)、ADAS(先進運転支援システム)、電動パワートレイン、インフォテインメントなどに必要な半導体を供給しています。特に電動車向けの電力制御半導体やセンサー、マイクロコントローラにおいては世界トップクラスのシェアを誇ります。
  2. Green Industrial Power(産業用電力制御)
    太陽光発電、風力発電、産業用モーター制御、電源装置などに用いられるIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)やMOSFET(電界効果トランジスタ)といった電力半導体を提供しています。近年ではSiC(シリコンカーバイド)やGaN(窒化ガリウム)といった次世代素材を用いた製品開発にも注力しています。
  3. Power & Sensor Systems(パワー&センサシステム)
    家電製品、携帯端末、サーバ、ノートPC、通信機器などに向けた電源管理ICやセンサ、RF部品などが中心です。この分野では高効率かつ省スペースな設計が重視され、スマートフォンの急速充電やドローン、IoT機器への応用が進んでいます。
  4. Connected Secure Systems(セキュリティ・通信)
    スマートカード、セキュリティチップ、組み込みマイコン、コネクティビティ製品を通じて、安全なID認証やデジタル決済、IoT機器の保護を実現します。電子パスポートや銀行カード用チップの分野で世界的に高い評価を受けており、世界シェアも非常に高いです。

技術力と研究開発

インフィニオンは研究開発への投資を積極的に行っており、2023年度のR&D投資額は30億ユーロ以上に上ります。先端材料の採用、半導体プロセス技術の革新、AIやソフトウェアとの統合によって、製品の性能と信頼性を向上させています。

特に注目すべきはSiC(シリコンカーバイド)技術GaN(窒化ガリウム)技術であり、これらはEVのインバーターや急速充電器、再生可能エネルギー設備などの高効率・高耐圧が求められる用途に最適です。これらの分野では、米国のCree(現Wolfspeed)や日本のROHMなどと激しい競争を繰り広げていますが、インフィニオンは製品ラインナップの幅広さと量産体制で優位性を保っています。

買収と成長戦略

インフィニオンは成長戦略の一環として、買収を通じた技術の拡充にも積極的です。2020年には米国のCypress Semiconductor(サイプレス・セミコンダクター)を約90億ユーロで買収し、マイコンやWi-Fi/Bluetooth技術、セキュアメモリなどの分野を強化しました。

この買収により、車載ネットワークやIoTプラットフォーム、ヒューマンマシンインターフェースといった先端領域への展開が加速されました。

環境・社会・ガバナンス(ESG)への取り組み

インフィニオンは持続可能性と環境保護を企業理念の中核に据えています。カーボンニュートラルの実現を2030年までの目標に掲げ、自社の生産プロセスの効率化や再生可能エネルギーの活用を進めています。また、製品自体もエネルギー効率の高い設計を追求しており、グリーンテックの推進企業として評価されています。

社会貢献活動にも力を入れており、STEM(科学・技術・工学・数学)教育支援や人権・労働環境の改善に取り組む姿勢も示しています。企業ガバナンスについても、透明性ある経営と情報開示に努めており、欧州企業の中でも優良なガバナンス体制を持つ企業の一つとされています。

日本との関係

日本においてもインフィニオンは古くから事業展開しており、自動車、産業機器、通信機器メーカーなどとの取引が活発です。東京都に日本法人を持ち、技術サポートやローカルでの営業活動を展開しています。また、日本のSiC技術を持つ企業や研究機関との技術連携も進んでおり、日本市場を戦略的に重視しています。

今後の展望

今後、EVの普及、再生可能エネルギーの拡大、スマートファクトリーやスマートホームの発展、そしてIoTAIの高度化により、インフィニオンの市場はさらに拡大していくと予想されます。同時に、米中技術摩擦や半導体供給の地政学的リスクといった課題にも柔軟に対応する必要があります。

しかし、技術革新、サステナビリティ、グローバルな供給体制を強みに、インフィニオンは今後も世界のエレクトロニクス産業における中核企業としてその地位を維持・強化していくでしょう。


 

 

 

サプライチェーン情報

 

弊社の流通中古市場調査で、 INFINEON 製の製品・部品は約 種類確認されています。

また互換・同等の製品・部品を供給している主な会社・ブランドと種類数は以下のとおりです。

 

EUPEC                                                          620

INTERNATIONAL RECTIFIER                   18

 

上記のサプライチェーン情報は2024 11月に調査した流通在庫データをベースにしていますので日時の経過によって変動いたします。

 

 

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