日本電気(NEC)

 

日本電気株式会社(NEC)の概要

日本電気株式会社(NEC Corporation)は、日本を代表する総合電機メーカーおよび情報通信技術(ICT)企業です。1899年に創業され、長い歴史の中で日本の通信インフラやコンピュータ技術の発展に大きく貢献してきました。本社は東京都港区にあり、国内外に多数のグループ企業と拠点を持っています。

NECは、「Orchestrating a brighter world(より明るい世界を共創する)」という企業理念のもと、ICT技術を活用した社会課題の解決を目指しています。特に、公共、安全、ネットワーク、企業向けのソリューションを中心に展開しており、AIIoT、クラウド、セキュリティといった先進技術にも力を入れています。

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歴史と沿革

NEC1899年、日本で初めての外資合弁会社として設立されました。創業当時はアメリカのウェスタン・エレクトリック社との合弁で、主に電話機や通信機器の製造を行っていました。

以下に主な歴史的な節目を示します:

  •  1920年代〜1930年代:電話交換機の国産化に成功。
  •  1950年代〜1960年代:電子計算機(コンピュータ)の開発に着手。1960年には日本初の国産トランジスタ式コンピュータ「NEAC-1101」を発表。
  •  1970年代:半導体事業に参入。情報通信とコンピュータを融合した「C&C(コンピュータ&コミュニケーション)」の理念を提唱。
  •  1980年代〜1990年代:パソコンの黎明期には「PC-9800」シリーズで日本市場を席巻。スーパーコンピュータの開発や、ネットワークインフラの整備にも注力。
  •  2000年代以降ITサービスやシステムインテグレーション事業を拡大。社会インフラのデジタル化に注力する一方、コンシューマ向け製品は縮小。
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主な事業領域

NECの事業は大きく分けて以下の分野に分類されます。

1. パブリック事業(公共・行政・医療・教育など)

政府機関や自治体、医療機関、教育機関などに向けて、ICTを活用した業務効率化、行政手続のデジタル化、防災・減災システム、顔認証技術を活用したセキュリティなどを提供しています。

2. エンタープライズ事業(民間企業向け)

企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援。業務アプリケーションの開発、ERPシステムの導入支援、クラウド化、AIによるデータ分析サービスなどを行っています。

3. ネットワークサービス

通信事業者向けに、移動通信システム(5Gを含む)、海底ケーブルシステム、ネットワークインフラ、通信設備などを提供。NECは特に海底光ケーブルでは世界有数のシェアを誇っています。

4. グローバル事業

海外でも政府・企業向けにICTソリューションを展開。アジア、北米、欧州、中南米、アフリカなどで展開しており、特に安全保障や都市インフラのデジタル化、交通・防犯システムに強みを持っています。

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技術力と強み

NECの最大の強みは、長年培ってきた通信技術とAI・セキュリティ技術の融合にあります。

  •  顔認証技術:世界的な評価を受けており、米国国立標準技術研究所(NIST)の評価で何度も世界トップを獲得。空港や大規模イベントでの本人確認に活用されています。
  •  AINEC the WISE:独自のAI技術群で、画像認識、音声分析、異常検知などの分野で先進的なソリューションを提供。
  •  量子コンピューティング:次世代コンピューティングの研究にも取り組んでおり、量子アニーリング技術を活用した最適化ソリューションの開発も進めています。
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サステナビリティと社会貢献

NECSDGs(持続可能な開発目標)への対応を経営の重要課題と位置付け、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを行っています。具体的には、気候変動対策としてのCO2排出削減、再生可能エネルギーの活用、教育支援、地域社会との共創プロジェクトなどがあります。

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経営戦略と将来展望

近年のNECは、「デジタルガバメント」「スマートシティ」「セーフティ」「モビリティ」といった分野に注力し、社会の構造的な変化に対応したソリューションの提供を目指しています。特に以下の点が注目されています:

  •  5Gと次世代通信:日本国内外で5G基地局の構築や関連システムの提供を強化。
  •  自治体DX支援:住民サービスのオンライン化、行政手続の効率化支援。
  •  国際展開の加速:海外の治安維持や交通管理プロジェクトへの参画が増加。
  •  パートナー戦略NECは近年、国内外の企業と積極的にアライアンスを結び、新技術・市場開拓に乗り出しています(例:NTTとの資本・業務提携、欧州企業との協業など)。
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おわりに

NECは日本の情報通信産業の草分け的存在として、120年以上の歴史を持ちつつも、絶えず変化し続ける技術や社会ニーズに対応する姿勢を貫いています。単なる製造業からソリューション提供型企業への転換を図りつつ、世界中の人々の生活の質を向上させるための取り組みを加速しています。

今後もNECは、「信頼」と「技術力」を武器に、サステナブルで安全・安心な社会の実現に貢献し続けることでしょう。

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創業時の背景と苦労

初の外資合弁企業としてのハードル(1899年)

NECは、1899年に日本初の外資との合弁会社として誕生しました。アメリカの「ウェスタン・エレクトリック社(Western Electric)」と三井物産の支援を受けて設立されましたが、当時の日本では、外国資本との合弁に対して強い警戒感や反発がありました。

  •  明治政府は、外資の流入によって国の産業が支配されることを恐れていた。
  •  国内にはまだ「通信技術」に対する理解が乏しく、「電話は金持ちの道楽」というイメージさえあった。
  •  英語や外国の技術文書を理解できる技術者も非常に少なかった。

このような中での設立は、大きな社会的・政治的リスクを伴っていました。

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面白いエピソード①:創業者・岩垂邦彦の交渉術

創業の中心人物であり、初代社長を務めた**岩垂邦彦(いわだれ くにひこ)**は、非常にユニークな人物でした。

彼はアメリカでの留学・実務経験があり、ウェスタン・エレクトリック社との交渉にも自ら出向きました。最初は「日本には市場がない」と突っぱねられましたが、岩垂はこう説得したとされています。

「今は市場がなくても、将来日本の電話網は必ず必要になる。今から投資すべきだ」

その熱意と先見性に心動かされたウェスタン社は、最終的に50%の出資を承諾。これは当時の日本では非常に異例のことでした。

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面白いエピソード②:組立ラインが「和室」だった

設立当初、NECには専用の工場がありませんでした(東京都芝浦 )。そのため、最初の電話機の組立作業は、畳敷きの和室で行われていたそうです。

  •  技術者たちは、座布団に座って一つ一つ部品を組み立てていた。
  •  米国から輸入された部品の一部は、日本の湿気のせいで変形し、使用できなくなることも。
  •  組立工程でネジや工具が畳の間に落ちると見つからず、「畳をあげて探す」なんてこともあったとか。

これは現在の最先端クリーンルームでの製造とはまったく違う、アナログで人間臭い創業時代を象徴するエピソードです。

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面白いエピソード③:電話帳をつくったのはNEC

当時、電話を導入する際には「電話番号」という概念が日本にはまだ浸透していませんでした。電話をかけるためには、交換手に「○○さんにつないで」と言うスタイルでした。

NECは、自社の電話機を売るために、日本で初めて**「電話番号を使う電話帳」**を提案し、その印刷と配布を手がけたと言われています。

つまり、NECは日本における電話番号文化の生みの親の一人でもあるのです。

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面白いエピソード④:社名の略称の誤解

NECという略称は、正式名称「Nippon Electric Company」から来ていますが、実は創業当時、この社名の略称には社内でも議論があったそうです。

一部の社員からは、

NECという略称は、アメリカ風すぎて、日本人にはなじみにくいのでは?」

という声があり、漢字名(日本電気)を前面に出すべきだという意見も。しかし、外資との合弁企業であった背景から、英語名を用いることで**「世界に通用する会社を目指す」という意思表示**だったとも言われています。

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NECの創業期には、社会からの理解不足、資金難、外国技術の導入に伴う文化的な摩擦など、多くの困難がありました。それでも、岩垂邦彦をはじめとする先人たちの「未来を見る力」と「柔軟な実行力」によって、NECはわずか数年で国内電気通信市場の中心的存在へと成長していきました。

このようなエピソードは、NECが単なるテクノロジー企業ではなく、「社会の基盤を築くために挑戦を重ねてきた企業」であることを物語っています。

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サプライチェーン情報

 

弊社の流通中古市場調査で、日本電気:NEC製の製品・部品は約9,300種類確認されています。

また互換・同等の製品・部品を供給している会社は以下の会社です。

TECO   3,400種類

 

上記のサプライチェーン情報は202412月に調査した流通在庫データをベースにしていますので日時の経過によって変動いたします。

 

 

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