IAI

 

IAI株式会社の企業概要とFA機器事業の特徴

IAI株式会社(本社:静岡県静岡市清水区)は、1976年の創業以来、日本のFAFactory Automation)業界において着実に成長を遂げてきた企業です。特に「電動アクチュエーター」および「ロボシリンダ®」といった精密制御機器の開発・製造において国内外で高い評価を受けており、FA現場の自動化・省力化に大きく貢献しています。

IAIの意味はは、創業当初の社名 International Automation Industry に由来しています。現在の公式な意味づけは「Intelligent Actuator Inc.」で統一されています。

IAIは、「人と地球にやさしい自動化を実現する」という企業理念を掲げ、空気圧シリンダに代わる「電動」の制御技術を推進しています。これは、工場のエネルギー消費削減や環境負荷軽減といった、持続可能なものづくりを支援する動きとも一致しており、現代の産業界において注目される技術です。

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主力製品と技術の特色

1. ロボシリンダ(Robo Cylinder®

IAIの代表的製品である「ロボシリンダ」は、従来の空気圧シリンダでは難しかった位置制御・速度制御・推力制御を高精度で行うことができる、電動アクチュエーターです。このロボシリンダは、簡単な配線と設定で使用でき、空気圧シリンダと比較して消費電力を最大で1/5程度に抑えることが可能です。

また、動作の再現性や安定性が高く、食品、医薬品、自動車、電子機器といったさまざまな業種の生産ラインに導入されており、「省エネ」と「高精度」の両立が評価されています。

2. 電動アクチュエーター各種

IAIでは、スライダー型、ロッド型、テーブル型、回転型といった多様な形状・仕様の電動アクチュエーターを提供しており、用途に応じた柔軟な選定が可能です。また、搭載可能なモーターの種類も豊富で、ステッピングモーターやサーボモーターなどから選ぶことができます。

これにより、単純な直線動作から複雑な多軸制御まで対応可能で、装置メーカーやシステムインテグレーターからの高い支持を得ています。

3. スカラロボット・多関節ロボット

IAIは近年、垂直多関節型ロボットや水平多関節型(スカラ)ロボットの開発にも注力しています。これにより、ピックアンドプレース、組立、検査などの多様な自動化工程に対応可能となっており、ロボット単体から複数軸のシステム提案までトータルソリューションを提供できる点が強みです。

また、ロボットの操作はIAI独自の簡単プログラミングツールにより直感的に行うことができ、導入の敷居が低く、中小企業にも適した製品群となっています。

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環境対応と省エネへの取り組み

IAIは、全社を挙げて環境対応に取り組んでおり、特に電動システムによる省エネルギーの推進を大きな目標としています。電動アクチュエーターは空気圧システムに比べてエネルギー効率が良く、無駄な圧縮空気の発生や配管による損失がないため、CO₂削減効果も高いとされています。

また、IAIは製品寿命の長期化とメンテナンス性の向上にも力を入れており、「持続可能な製造業」を支えるパートナー企業としてのポジションを確立しつつあります。

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サポート体制とグローバル展開

IAIは国内に多数の営業拠点を持ち、エンジニアによる技術支援・アフターサービスを強化しています。また、海外展開にも積極的で、アメリカ、ドイツ、中国、タイ、韓国、インドなどに現地法人や営業拠点を展開しています。これにより、グローバルに展開する日系企業の現地生産にも対応できる体制を整えています。

製品マニュアル、3D CADデータ、制御プログラムのテンプレートなどもウェブサイトから提供されており、エンジニアの開発効率を高める環境が整っています。

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今後の展望

今後のIAIは、AI技術やIoTとの連携を強化し、スマートファクトリー時代における新たな製品・ソリューションの開発を進めていくと見られています。特に、生産設備の自律化や遠隔監視、予知保全といった分野での応用が期待されており、これらに対応した製品群の拡充が注目されています。

また、少子高齢化による労働力不足が進む日本社会において、より簡単に導入・運用できるロボットの提供は、IAIにとって一層重要な使命となるでしょう。

IAI株式会社は、電動アクチュエーターとロボシリンダを中心とした製品で、FA業界において高い信頼と実績を誇る企業です。省エネ性、高精度、操作性といった多くのメリットを備えた同社の製品は、今後のスマートファクトリー化においても重要な役割を果たすことが期待されます。今後も「人と地球にやさしい自動化」の実現に向けて、革新的な製品とサービスを提供し続けていくでしょう。

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エピソード1:エアシリンダに挑んだ「異端児」たちの挑戦

1976年、IAI株式会社(当時:株式会社アイエイアイ)は、日本のFA業界でまだまだ空気圧シリンダが主流だった時代に創業されました。FA現場では「空気圧が安くてシンプル。それで十分だ」という常識が強く根付いていた時代です。

ところが、IAIは「これからは電動の時代だ」「もっと賢く動くアクチュエーターが必要になる」と信じ、業界に真っ向から逆らう形で「電動アクチュエーター」を開発・提案していきました。

当初はほとんどの現場やエンジニアに見向きもされず、「電動なんて高いし難しい、空気でいいよ」と言われるのが当たり前。中には展示会でブースを訪れた客に、「こんなの絶対流行らない」と言われてしまうこともあったそうです。

しかし、IAIの開発チームは「絶対にこれは必要とされる時代が来る」と信じ、改善を重ね続けました。そして、数年後、ある医療機器メーカーが製品の微細な位置制御とクリーン性を求めていた際に、IAIのロボシリンダが採用され、大きな成功を収めます。これをきっかけに、徐々に「電動のメリット」が認知されていき、やがて自動車・電子・医薬など多分野に広がっていきました。

当時の社員の中には、「社内で『空気を超えるのが俺たちの夢だ!』と本気で言ってた仲間もいた」という証言もあり、今や業界スタンダードとなった電動アクチュエーターの黎明期には、確かな情熱と信念があったことがうかがえます。

このように、IAIの歴史は「常識を疑い、新しい価値を作る」挑戦の連続でした。今日では「空気圧電動」という流れは当たり前になりつつありますが、その先駆者であったIAIの粘り強さとビジョンは、多くの技術者にとっても刺激的なストーリーと言えるでしょう。

 

 

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エピソード2:製品名は社員公募!?「ロボシリンダ」誕生秘話

2001年、IAIはそれまでの「電動アクチュエーター」に革新を加えた新たな標準製品シリーズを開発しました。これまでカスタム品中心だった製品群を、「誰でも使いやすく、簡単に導入できる標準化された電動シリンダ」にまとめたこのシリーズは、IAIにとって新たな挑戦でした。

社内で始まった“名前争奪戦”

この新製品には、「社内外で広く使ってもらえる、覚えやすくて印象に残る名前をつけたい」ということで、社員から名称を公募するという、やや珍しい試みが行われました。

その結果、社内で多数の応募が集まり、最終的に採用されたのが「ロボシリンダ(Robo Cylinder」という名前です。

当時はまだ「ロボット」という言葉が産業分野では今ほど浸透しておらず、「ロボ」と「シリンダ」を組み合わせたこのネーミングは斬新でした。しかし社内外からは、「ダサくない?」「ウケ狙いか?」という反応も少なくなかったそうです。

しかし…名前が製品の強みを伝えた!

ところがこのネーミング、実は非常に理にかなっていました。というのも、ロボシリンダはまさに「ロボットのように動く賢いシリンダ」であり、位置制御・速度制御・推力制御などを自在にプログラムできるという、当時としては画期的な性能を持っていたからです。

この親しみやすい名前が、現場の技術者たちの印象に残り、取引先では「あのロボシリンダってやつ、面白いな」と話題に。導入企業がじわじわと増えていき、結果的にIAIのブランドを決定づける製品となっていきました

 

 

 

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エピソード3:技術的にもユニーク:空気圧の常識を「数値化」で超える

技術面でも、このロボシリンダは極めてユニークでした。従来の空気圧シリンダでは感覚に頼っていた「位置・速度・押し当て力」などを、すべて数値で管理・制御可能にしたのです。例えば、

  •  0.1mm単位で位置を設定できる
  •  動作速度を任意に調整できる
  •  ワークに「押し当てる力」も数値で設定できる

といった機能は、当時としては非常に高度で、「シリンダがここまで賢くなるとは!」とFA業界に衝撃を与えました。

また、空気を使わないためクリーンルームや静音性が重要な場所にも対応でき、医療・製薬・半導体分野などへも展開していきました。

このように「ロボシリンダ」は、単に技術革新の塊であるだけでなく、「社員のアイデア」と「使う人の視点」がうまく融合して誕生した、IAIらしいユニークな製品です。名前のインパクトと中身の完成度が絶妙にマッチしたことで、現在ではIAIの代名詞とも言える存在になりました。

もしあのとき社員公募で別の名前が選ばれていたら…IAIのイメージはまったく違っていたかもしれませんね。

 

サプライチェーン情報

 

弊社の流通中古市場調査で、IAI製の製品・部品は約16,000種類確認されています。

また互換・同等の製品・部品を供給している主な会社は以下のとおりです。

ROBO CYLINDER           1,000種類確

 

上記のサプライチェーン情報は2025 02月に調査した流通在庫データをベースにしていますので日時の経過によって変動いたします。

 

 

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